ふだんは気にならないのに、雨の日や暖房をつけたときに、ふっとにおうことがあります。来客を乗せたときに指摘されて、はじめて気づいたという方もいらっしゃいます。
掃除機をかけて、シートを拭いて、消臭スプレーもまいた。それでも数日で戻ってくる。手を抜いたからではありません。届いていないだけです。
この記事では、ペットのにおいが車内に残る理由と、家庭でできることの範囲、そして粗相(尿)のにおいだけは残り方が違うという話を書きます。料金も先に出します。
まず、どのにおいなのかを分けてください
「ペット臭」とひとまとめにされがちですが、原因が違えば、届かせるべき場所も変わります。ご自身の車がどれに近いかを先に見てください。
こもったけもの臭・獣臭
特定の出来事があったわけではないのに、乗り込んだ瞬間ににおう。毎日乗せている車で多いかたちです。皮脂と汗が繊維に積み上がって、酸化しています。
けもの臭そのものの仕組みは、別の記事で詳しく書いています。ペットが原因で車内がけもの臭くなる理由と正しい対処法
粗相(尿)のにおい
この記事で詳しく扱うのがこれです。液体がかかったにおいは、けもの臭とは残り方が違います。表面ではなく、下へ入っていきます。
嘔吐・下痢のあとのにおい
固形物を取り除いて拭いたのに、数日してから戻ってくるかたちです。有機物が繊維の奥に残っています。やってはいけない対処もあります。ペットの嘔吐・下痢・粗相の臭いが残る理由と家庭での限界
毛が刺さって取れない
においではなく、見た目の問題です。コロコロでも掃除機でも取れない毛は、生地に刺さっています。ペットの毛がシートに刺さって取れない理由と正しい除去方法
拭いてもヌルつく
ドアの内張りやシートの縁が、拭いてもベタつく。よだれと皮脂が膜になっています。拭いても拭いてもヌルつく。車内に残るペットの皮脂膜の正体
ペットのにおいが車内に残り続ける理由
においの中心は、毛ではありません
毛を取ればにおいが消えると思われがちですが、においの中心にあるのは皮脂・汗・唾液です。これらが繊維に吸着し、時間とともに酸化して独特のにおいに変わります。
毛を全部取っても、においが残るのはこのためです。掃除機で取れるのは、表面に乗っているものだけです。
シートは、上から下まで隙間だらけです
車のシートは、見えている布が一枚あるだけではありません。表面の生地は細い糸を織ったもので、糸と糸のあいだには隙間があります。その下には、クッションになるウレタンが入っています。細かい泡がびっしりと連なった、スポンジのような素材です。
ここに皮脂や唾液が入り込むと、ウレタンの中で雑菌と反応してにおいの元になります。表面を拭く作業では、ここまで届きません。
湿気と温度で、戻ってきます
雨の日や、暖房をつけたとき、夏場の締め切った車内。においが強くなるのは、気温と湿度が上がると、残っているものが空気中に出てきやすくなるためです。
「先週はきれいになったと思ったのに」というご相談が多いのは、においが消えたのではなく、出てきにくい条件だっただけという場合があるからです。タバコのにおいと同じ仕組みです。
粗相(尿)は、他のにおいと残り方が違います
ここが、けもの臭や毛の話といちばん違うところです。粗相のご相談は実際に多く、そして「拭いたのに戻る」が起きやすいのがこのかたちです。
液体は、表面にとどまってくれません
上に書いたとおり、シートは隙間だらけの構造をしています。液体がかかると、生地の隙間を通り抜けて下のウレタンへ入り、泡の集まりの中を横にも下にも広がります。
時間が経てば水分は抜けます。ただし、においの元になる成分は、水分と一緒に出ていってくれるわけではありません。ウレタンの中に残ります。
そこへ湿気と温度が加わると、また出てきます。「乾かしたのに戻る」の正体はこれです。
後部座席と、フロアマットの下に集まります
ペットを乗せる席は、たいてい後部座席です。そして液体は低いほうへ流れますから、シートベルトのバックルの根元や、座面と背もたれの境目に入り込みます。手を入れにくい場所ばかりです。
足元も同じです。フロアマットは、ゴム製でも布製でも、液体をそこで止めてくれるわけではありません。縁からまわり込んだり、布の目を通り抜けたりして、下のカーペットに達します。
しかもマットが上にかぶさっているぶん、そこは乾きにくい場所です。マットだけを外して洗って戻しても、下から戻ってくることになります。
猫の尿は、時間が経つほど強くなります
猫の尿はアンモニア成分を含み、時間が経つほど刺激臭が強くなる傾向があります。飼い猫だけでなく、駐車中に野良猫が車内へ入り込んでいたというご相談もあります。
この場合、においの元がシートレールの溝やフロアカーペットの内部に入り込んでいることがあります。ミニバンのシートレールは溝が深く、掃除機のノズルでは届きません。
量と時間で、届き方が変わります
粗相のご相談で最初にうかがうのは、いつのことかとどのくらいの量かです。
- 気づいてすぐ拭き取れた場合…奥へ入った量が少なくて済んでいます
- 乾いてから気づいた場合…すでに下まで入っている可能性があります
- 何度も繰り返している場合…同じ場所に積み上がっています
表面を拭き取ること自体は、正しい対処です。表面に残った量を減らせば、そのぶん奥へ入る量も減ります。「拭いても無駄だった」ということではありません。
家庭でできることと、その限界
掃除機でできること
毛とゴミを取ることで、においの原因の一部は減らせます。ただし皮脂や唾液は吸えません。ヘッドが布を叩くことで、においが一時的に強く出ることもあります。
拭き掃除でできること
表面の汚れには有効です。ただし、ウレタンの中に入ったものには布が届きません。そして水分が残ると雑菌が増えるので、拭いたあとは乾かしてください。
消臭スプレー・芳香剤でできること
一時的に上からかぶせることはできます。ただし、においの元は残ったままです。ペットのにおいと香りが混ざって、かえって気になるかたちになることがあります。
やらないほうがよいこと
- 強くこすること。汚れを繊維の奥へ押し込むことになります
- 熱湯をかけること。たんぱく質が固まり、かえって取れにくくなります
- 大量の水を流し込むこと。吸い上げる手段がないまま水を入れると、汚れを広げて、乾かない場所を作ります
3つとも、良かれと思ってやってしまいやすいものです。状態が悪くなってからのご相談も少なくありません。
クルピカ24の作業と料金
洗って、水ごと吸い上げます
においの元を外に出すには、いったん水で浮かせて、そのまま吸い上げる必要があります。使うのはリンサークリーナーという機械で、生地に洗浄液を吹き込み、汚れを浮かせて、水ごと吸い上げます。
大事なのは、吸い上げるところまでを一続きでやることです。洗うだけで吸わなければ、浮かせたものが生地の中に戻ります。
この機械で吸い出せる深さには目安があり、表面からおよそ5cmまでです。粗相がその範囲にとどまっていれば、洗って吸い上げることで、においの元をかなり外へ出せます。量が多かったり時間が経っていたりして、ウレタンの中心部まで入り込んでいる場合は、上から吸うだけでは届かないことがあります。
足元は、マットを外して下まで洗います
フロアマットを外し、その下の車体側カーペットまで洗って吸い上げます。マットそのものも別に洗います。
においのご相談で足元を飛ばすと、シートだけをきれいにしても下から戻ってきます。後部座席のご相談でも、前の席と足元まで作業するのはこのためです。車内の空気はつながっているので、一部だけを洗っても車内の空気は変わりにくくなります。
仕上げにオゾン消臭。ただし順番があります
オゾン消臭は、においのご相談で最初に思い浮かべる方法だと思います。ただし、先に洗ってから使います。
においの元がシートやカーペットの中に残ったままオゾンだけをはたらかせても、そのときは軽くなったように感じられ、あとから戻ってきやすくなります。まず洗って外へ出す。そのうえで、生地の奥に残ったぶんや空気中のぶんにオゾンをはたらかせる、という順番です。
オゾン消臭は車内基本清掃に追加するオプションです。オプションだけのご依頼は承っておりません。
料金(税込)
| 作業 | 料金(税込) |
|---|---|
| 車内基本清掃(軽自動車) | 25,000円 |
| 車内基本清掃(普通車) | 30,000円 |
| 車内基本清掃(大型車) | 35,000円 |
| オゾン消臭(オプション) | 12,000円 |
| 天井清掃(オプション) | 10,000円 |
| シート脱着(オプション) | 11,000円/脚 |
出張費・交通費・高速代は、この金額に含まれています。遠方だからという理由で上がることはありません。汚れの種類による加算もありません。ペットの粗相でも、毛でも、車種区分の金額のままです。
別途かかるのは、コインパーキングで作業する場合の作業車の駐車代だけです。
下まで入っている場合は、シートを外します
座面を通り抜けて下側まで達しているようなときは、シートを取り外して裏側からも手を入れる作業になります。シート脱着11,000円(税込)/脚が別途かかります。
外すかどうかは、実際に見てから決まります。ご相談の時点で「必ず外します」とはお伝えできません。
作業のあとは、乾燥の期間が要ります
作業のあとは、リンサークリーナーで脱水してからお返ししています。それでも湿った状態でのお返しとなりますので、乾燥期間が1日から必要です。駐車中に少し窓を開けておける環境でしたら、風を通していただくと早く落ち着きます。
「自分では分からなくなる」という別の問題
ペットのにおいのご相談で、他のにおいと違うところがもうひとつあります。毎日乗っているご自身が、いちばん分からなくなるという点です。
においは、同じものを嗅ぎ続けていると感じにくくなります。「消えた」のではなく「慣れた」だけ、ということが起こります。来客を乗せたときや、しばらく乗らなかったあとに乗り込んだときに指摘されて気づく、というご相談が多いのはこのためです。
確かめ方
- 窓を閉めて30分ほど置いた車に、外から乗り込む。閉め切った車内はにおいがこもるので、ふだんより分かりやすくなります
- シートの座面と背もたれの境目、後部座席の足元に顔を近づける。においが残りやすい場所です
- 雨の日や、暖房をつけた直後に確かめる。湿気と温度で出てきやすくなります
ご家族に乗ってもらうのがいちばん早い方法です。毎日乗っていない人のほうが正確に分かります。
これから積み上げないために、できること
一度洗っても、乗せ続ければまた積み上がります。ゼロにする話ではなく、たまる速さを落とす話として読んでください。
乗せる場所を決める
車内のあちこちに移動できる状態だと、皮脂と毛が全席に広がります。場所を決めておくと、手を入れる範囲もそこで済みます。ケージやドライブボックスを使う方法もあります。
シートカバーやマットを敷く
敷いておけば、皮脂や毛がシートの生地に直接入るのを減らせます。ただし、液体は別です。粗相があったときは、カバーの下まで通っていると考えて、下も確認してください。
なお、清掃をご依頼いただく場合、シートカバーはお客様側で外しておいていただけますようお願いしています。当日に外すと、その分の時間がかかります。
乗せたあとに、風を通す
においの元は湿気と一緒に出てきます。逆に言えば、湿気を残さないほうが、たまり方はゆるやかになります。降りたあとに数分でも窓を開けておくと違います。
粗相は、乾く前に吸い取る
この記事でいちばんお伝えしたいのはここです。気づいた時点でタオルを当てて、上から押さえて吸い取ってください。こすらないでください。こすると、奥へ押し込むことになります。
表面で止められた量の分だけ、あとが軽くなります。そのうえで残ったにおいが、ご相談いただく範囲です。
実際の作業を見ていただけます
においは写真に写りません。ですので、何が見えたかではなく「何をしたか」を書いた事例をご覧ください。
後部座席にペットの尿のにおいが残っていたご相談です。マットの下まで手を入れた工程が写真で追えます。【広島県福山市】ダイハツ タフト 後部座席のペットの尿のにおいを車内清掃
駐車中に野良猫が入り込み、アンモニア臭が強く残っていたご相談です。シートレールの溝まで清掃しています。【福岡県北九州市】日産セレナの猫尿臭清掃事例
よくある質問
Q. においは完全に消えますか?
A. 完全に消えるとはお約束できません。量、経ってからの時間、素材によって結果が変わります。できるのは、においの元になっている汚れを、届く範囲で外へ出すところまでです。そこは正直にお伝えしたうえで、お受けするかどうかを一緒に決めさせてください。
Q. 何年も前の粗相でも間に合いますか?
A. ご相談いただけます。ただし、時間が経っているほど奥まで入っていることが多く、上から吸うだけでは届かない場合があります。そのときはシート脱着を含めてご案内します。いつごろのことかをお知らせください。
Q. オゾン消臭だけを頼めますか?
A. オゾン消臭だけのご依頼は承っておりません。車内基本清掃に追加するオプションとしてお受けしています。においの元が残ったままオゾンだけをかけても、あとから戻ってきやすいためです。
Q. 毛だけを取ってもらうことはできますか?
A. 車内基本清掃の中で行います。刺さった毛は掃除機では取れないため、専用の道具で浮かせてから吸い出します。毛だけの部分清掃というかたちでは承っておりません。
Q. 猫が車に入り込んでいました。中は見た目にはきれいですが頼めますか?
A. ご相談いただけます。尿は目に見える液体として残っていないことのほうが多く、においだけが残ります。床面とシートレールのまわりを重点的に確認します。
Q. 車を持ち込む必要はありますか?
A. お車を停めていらっしゃる場所へ伺います。ご自宅の駐車場、職場、コインパーキングでも作業します。持ち込んでいただく必要はありません。
まとめ
車内のペットのにおいは、毛ではなく皮脂・汗・唾液が中心です。繊維に吸着して酸化し、湿気と温度で戻ってきます。
粗相(尿)だけは、残り方が違います。液体は表面にとどまらず、生地の隙間を通ってウレタンの中へ入り、横にも下にも広がります。水分が抜けても、においの元は残ります。フロアマットの下も同じで、マットは液体を止めてくれません。
ですから、洗って、水ごと吸い上げるという作業が必要になります。仕上げのオゾン消臭は、洗ったあとに使います。料金は車内基本清掃が軽自動車25,000円・普通車30,000円・大型車35,000円、オゾン消臭12,000円(いずれも税込)で、出張費・交通費・高速代は含まれています。
いつごろのことか、どのくらいの量か、どこが気になるか。この3つをお知らせいただければ、そこからご相談させてください。